Netflixのオリジナルドラマとして大きな話題となり、日本版ドラマも制作された『梨泰院クラス』には、原作があるのをご存じだろうか?実はその作品というのが、韓国の漫画家チョ・グァンジン氏による全79話の同名のウェブ漫画(Webtoon)『梨泰院クラス(翻案タイトルは『六本木クラス』)』である。
他にも、今年6月に続編の制作が発表されたNetflixオリジナルドラマ『今、私たちの学校は…』も同様に、Webtoonを原作とした作品である。
このように、Webtoonhaは近年、多くの作品が実写化され、ヒット作の根源となっています。そこで本記事では、そんなWebtoonをその誕生の背景から徹底解説したいと思います。
Webtoonとは、韓国発のデジタル漫画の一種で、スマホでのスクロールを前提とした縦長形式とフルカラーであることが最たる特徴です。韓国で生まれた漫画形式ですが、近年では発祥地の韓国に留まらず、アジアから欧米市場まで世界中で注目されています。
そして、実際、グローバルインフォメーション社による世界市場調査では、2028年には262億1,359万米ドル(約3.3兆円)の市場規模に達するとも言われています。
このように、ここ数年、最注目の市場の1つでもあるWebtoonはどのように誕生したのでしょうか。ここでは、Webtoonが持つ興味深い誕生秘話をご紹介します。
Webtoonの原点を知るためには、韓国のインターネットと漫画の歴史を理解する必要があります。1990年代末、通貨危機に見舞われた韓国では、出版などの「紙」文化は壊滅的なダメージを受け、漫画市場はほとんど消滅してしまいました。
そんな一方、1999年3月より国家的な IT 戦略「Cyber Korea21」により、インターネットの普及率は急上昇しました。
漫画文化が失われていく中で、なんとか漫画を残そうとファン達が注目したのは、ポータルサイトのDaum(現在のkakao)とNAVERでした。アマチュアの彼らは、それらのポータルサイトにて漫画を無料掲載し始めたのです。
作家たちは爪楊枝のような細長いデータをページに貼り付け、読者はそれを、ポータルを閲覧するウェブブラウザでスクロールして読み進めました。
そうするうちに2010年代、スマートフォンが急速に普及しました。そして、そんなスマートフォンの縦長の画面は、Webtoonを読むのにはぴったりです。
このような偶然も重なり、Webtoonは一気に注目される存在となりました。そして近年では、世界的な韓流ドラマの需要を見込んだNetflixによって、Webtoonは、実写化をする上での原作の宝庫として活用されるようになっています。
このように通貨危機とインターネットの普及、スマートフォンの誕生と様々な出来事を背景に発展してきたWebtoonですが、そんなWebtoonにはどのような特徴があるのでしょうか。Webtoonの歴史の次には、その特徴についてご紹介します。
初期の頃、ポータルに無料掲載されたWebtoonは、ページビューに応じた原稿料が作家に支払われるシステムになっていました。しかし、作家にとってみれば、自分の作品が無料で配布されることには抵抗がありました。そこで、課金モデルが採用されるようになりました。
韓国では課金モデルを確立させた最初の事例はアダルトコンテンツでしたが、今ではエロでもなんでもない健全な作品が大きな収益を上げるようになっています。
特に、ピッコマが2016年頃から導入した「一定時間待てば無料で次の話が読める」、通称「待てば¥0(®)」システムは、webtoom独自のビジネスモデルとして多くの収益を生んできました。
Webtoonの特徴は、収益システムだけではありません。その制作システムも、紙の漫画とは大きく異なる特徴の1つです。
Webtoonの制作現場では、脚本、キャラデザ、ネーム、着色と各工程を専門クリエイターが担当し、作画もキャラクター作画と背景作画に分かれて担当します。一言で言えば、漫画よりもアニメに近いスタジオ形式で制作されています。
こうした分業制により、Webtoonの制作においては、1つの才能に特化した人材など、従来の漫画業界とは異なる人材が重宝されています。
もちろん、表現方法も紙の漫画とは異なります。ここについては、挙げるとキリがありませんので、特に注目したいWebtoon独自の2つの表現方法についてご紹介します。
Webtoonの表現方法1つ目は、S字型の目線誘導です。従来の漫画では、コマ間の幅や吹き出しの位置を調整することで読者の目線誘導を行います。しかし、Webtoonにおける目線の動きは、横はスマホ画面の幅で縦はスクロールによって固定されているため、シンプルなS字やZ字になります。そして、この目線が動く曲線の角度で、緩急をつけたり、リズムを整えたりすることになります。
Webtoonの表現方法2つ目は、好きなタイミングで「メクリ」と「ヒキ」を作れる点です。「メクリ」と「ヒキ」とは、ページをめくる際に最後に来るコマで読者の注意を引き、めくった後のコマのインパクトを増大させる技法で、従来の漫画で重要とされてきたポイントです。紙の漫画の場合、紙面の都合上「メクリ」と「ヒキ」を使える場所と回数が制限されていますが、Webtoonにはその制限がなく、より自由に、緩急のついた表現が可能です。
Webtoonでは、人気のジャンルに関しても、ある特徴があります。Webtoonの人気ジャンルは、「転生・憑依・回帰」の頭文字をとって「転憑回」とも総称される異世界を舞台とした作品です。具体的に言えば、男性にはアクションファンタジー、女性にはラブファンタジーが人気のジャンルとなっています。
フルカラーで表現の自由度も高いWebtoonは、異世界描写を得意としています。また、10代や20代など若い世代の読者が多いため、アクションものや恋愛ものが話題になる傾向があります。
ここまで、Webtoon誕生の歴史とWebtoonの特徴について述べてきましたが、実際のところ、日本では大流行とまで至っていないのがWebtoonの現実です。では、日本におけるWebtoonの未来はどのようなものなのでしょうか。
これまで大成功してきたように見えるWebtoon業界ですが、ここにきて問題点も見え隠れしています。それは、マーケティングにおける「ヒットの方程式」が確立されつつある中で、そんな方程式から外れるジャンルの作品は制作されず、同じようなジャンルで同じようなストーリーの作品ばかりになる問題です。
そんな中で、新たな人気ジャンルの開拓を目指すWebtoon企業は、膨大な資金力をもとにグローバル進出を果たし、新規の作家発掘に励んでいます。そこで期待されるのが、日本のクリエイターです。
日本はクリエイターの数自体がアメリカなどと比べて多く、pixivなどデジタルで絵を描いているクリエイターも多くいるため、Webtoonの作り手としては高いポテンシャルを持っています。
Webtoonが日本で流行しづらい理由の1つに、漫画の性質の違いがあります。精緻なコマ割りでストーリーを読ませる日本の漫画に対し、韓国など海外の漫画は迫力あるイラストと長めのセリフや解説文で展開するものが多いという現状があります。
しかし、もし国内のクリエイターがWebtoonに参入していけば、日本独自のスタイルを守った新たなwebtoonが確立される可能性も多くあります。そうなった場合には、Webtoonが日本で大流行する日も遠くないかもしれません。
いかがだったでしょうか。これまでコラム記事では、映像に関する話題を取り上げてきましたが、今回は、映像以外のエンタメとして近年話題の「Webtoon」に着目して執筆させていただきました。本記事が皆さまの参考になれば幸いです。
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