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近年の企業研修では、従来の対面型研修のほかに、「研修動画」への注目が高まっています。研修動画はオンラインでの視聴が可能で、時間や場所を問わず学習ができるため、従業員の自己学習を促進し、学習効果の向上にも寄与します。
この記事では、「研修動画」の作り方や活用方法、導入事例から研修動画がもたらす効果について詳しく解説いたします。
研修動画とは、社員教育や新人研修、業務手順の解説など、特定の目的を持って制作される教育用の動画のことを指します。テキストやマニュアルだけでは難しい視覚的な説明や、複雑な業務の流れを分かりやすく説明できるのが特徴です。また、インターネット環境があればどこでも視聴可能で、繰り返し学習することもできるため、コロナ禍の近年では特に話題となりました。
研修動画には多くのメリットがあります。その一つは、教育内容を視覚的に伝えることができる点です。さらに、動画であれば研修内容を何度でも繰り返し見ることができ、理解度を深めることが可能な上、長期的に見た時にはコスト削減にもつながります。また、研修動画の活用場面は多岐に渡り、新人教育から社内研修まで幅広く活用できます。
研修動画の最大のメリットは、視覚的な情報を用いて具体的な業務の流れや手順を示せることです。動画ならではの視覚的な表現力により、テキストの資料だけでは伝えきれない細かな動作や現場の雰囲気も伝えることができます。また、研修動画は何度でも視聴できるため、わかるところは倍速視聴し、わからない部分は何度も見直すなど、自分のペースで学習が進められる上、オンラインで配信することにより、場所や時間を選ばずに視聴が可能となり、学習の機会を増やすこともできます。さらに、一度制作してしまえば、従来研修を実施するたびに負担していた人件費や会場代の削減にもつながります。
研修動画は、その使い方次第で新人教育から社内研修まで、さまざまな場面で活用可能です。以下では、新人教育と社内研修での研修動画の具体的な活用方法をご紹介します。
新人教育では、企業のビジョンやルール、基本的な業務フローを理解するために研修動画が活用されます。新入社員が自社のビジョンやルールを理解することは、その後の業務遂行において非常に重要です。また、研修動画を使って基本的な業務フローを視覚的に説明することで、業務の流れをスムーズに覚えることができます。さらに、実際の業務を映像で見ることで、リアルな業務の様子をイメージしながら、研修を行うことができます。
社内研修では、新しい業務知識の共有や新システムの操作方法の習得、コンプライアンス教育などに研修動画が活用されます。新しい業務知識の共有においては、テキストだけでなく動画を使用することで、より深く理解することができます。また、新システムの操作方法についても、動画を使用することで視覚的に理解しやすくなります。さらに、コンプライアンス教育では、具体的なケースを動画で見せることで、実際の業務に生かしやすくなります。
研修動画のメリットと活用方法が伝わったところで、ここからは効果的な研修動画の作り方をお伝えいたします。研修動画を作る際には、企画、制作、そして評価と改善のフェーズを経ることが重要ですので、それぞれのフェーズで重要となるポイントを詳しく解説していきます。
映像を作る前の企画段階は、効果的な研修動画を作成するための基盤となります。企画を練る際には、何を伝えたいのか(目的)、誰に向けて伝えるのか(対象者)、どのように伝えるのか(メッセージと形式)を明確にします。これらが明確になることで、作るべき研修動画の方向性が明確化されます。
企画の立案では、まず動画のテーマとなる教育内容を定めます。これには業務の流れ、システムの操作方法、コンプライアンス、社内ルールなど、社員が知っておくべき情報が含まれます。教育内容を決めたら、それをどのようなスタイルや構成で視聴者に伝えるかを考えます。動画の長さ、ナレーションの有無、実演と解説の比率などを考慮することで、視聴者が理解しやすい動画を計画することができます。ここで注意したいのが、面白い動画を作ろうとして教育効果の薄い動画になってしまうケースも多くあります。あくまで「研修のための動画」であることを意識して企画を組み立てましょう。
企画が決まったら、具体的なスクリプトを作成します。スクリプトは動画の「仕様書」のようなもので、何をどのように撮影し、どのように解説するかを詳細に記します。シナリオよりも簡易的で構わないため、簡単に作成できるのが魅力です。スクリプトを作る際には、目的と対象者を常に意識します。また、研修動画においては、関心を引く工夫や、理解度を深めるための繰り返し等、理解を促進する要素も忘れずに入れましょう。
企画からスクリプトが完成したら、準備万端です。いよいよ映像の制作フェーズに入ります。映像の制作フェーズでは、制作したスクリプトを元に実際の撮影と編集作業を行います。
撮影は研修動画の重要な部分です。専門の機材を用意することで高品質な映像を取ることが可能ですが、スマートフォンだけでも十分なクオリティの動画を撮影することが可能です。撮影方法は研修の内容や目的により異なります。たとえば、具体的な操作方法を教える場合、現場の動作を正確に再現した映像が必要になるでしょう。また、複数の視点からの映像を組み合わせることで、視覚的に理解しやすい研修動画を作ることも可能です。
撮影した映像は編集を通じて一つの研修動画となります。編集ソフトを使用して映像の切り替え、音声の調整、テロップの挿入等を行い、明確で分かりやすいメッセージが伝わるようにしましょう。この際、英語や中国語など外国語のテロップも加えれば、外国出身の従業員にも活用できる研修動画に仕上がります。そして、この段階で何度も再生して、テスト視聴を行い、改善点を見つけ出すのも有効です。編集は手間と時間がかかる作業ですが、視聴者の理解度向上に大きく寄与します。
研修動画の制作が完了したら、評価と改善のフェーズに移ります。初めての視聴者や専門家にテスト視聴してもらい、フィードバックを得ることが重要です。また、映像を配信した後でも視聴者の反応や理解度を定期的に評価し、必要に応じて改善を行うことで、研修動画の質を維持し、長期的に使用し続けることが可能です。
今日では、研修動画の作成には様々なツールやサービスが利用できます。自社で研修動画を作るためのツール、あるいはプロの制作会社に依頼する場合のサービスを選ぶ際には、予算、時間、技術力などを考慮する必要があります。以下では、それぞれの方法のメリットとデメリット、また、おすすめのサービスを紹介します。
パワーポイント(略して「パワポ」)は、プレゼンテーション作成ツールとして広く知られていますが、研修動画の制作にも使用できます。スライドを作成し、そこにテキストや図、動画を挿入し、アニメーションや遷移効果を加えることで視覚的に魅力的な研修動画を作成することが可能です。特に、研修の内容がテキスト中心で、具体的な映像素材がない場合や、初めて研修動画を作る場合には、作成方法に馴染みのあるパワーポイントは、気軽に挑戦できる有効なツールになります。さらに、パワーポイントで作成したスライドは、一度作成すれば何度でも利用することができ、修正も容易であるため、手間やコストを抑えることが可能です。
映像編集ソフトを使用すれば、より本格的な研修動画を作成することができます。映像編集ソフトは、複数の映像や音声を組み合わせ、エフェクトを加えることで、プロフェッショナルなクオリティの動画を作ることができます。さらに、テロップや字幕、ナレーションの追加といった編集も可能です。映像編集ソフトは、操作が難しそうと感じるかもしれませんが、初心者向けのソフトも多く、使い方のチュートリアル動画も豊富に存在します。また中には無料で使えるソフトもあるため、初めてでも安心して挑戦することができます
研修動画の制作をプロに依頼することは、クオリティの高い動画を効率的に作成する上での一つの方法です。しかし、適切な制作会社の選び方や費用の相場を知らないと、余計な費用が発生してしまったり、最悪の場合求めていたものとは異なる研修動画になってしまう場合もあります。
動画制作会社を選ぶ際には、まず、制作会社の実績や評価を確認しましょう。また、会社が提供するサービスの内容や制作プロセス、費用対効果も重要な選定基準となります。特に研修動画を制作する場合、教育・研修分野に精通したスタッフがいるかどうかを確認することも大切です。加えて、過去のクライアントの声やレビューをチェックし、その会社が自社のニーズに適しているかを判断します。
研修動画の制作費用は、プロジェクトの規模や複雑さ、必要な機能や素材、動画の長さなどによって大きく変動します。一般的に、研修動画の制作費用は数十万円から数百万円程度と考えるとよいでしょう。予算を立てる際には、事前に制作会社に見積もりを依頼することが重要です。また、見積もりの中には制作費用だけでなく、修正の回数やアフターフォローに関する費用も含まれていることを確認しましょう。
「ムビラボ」は、格安で上質な広告動画を1本2万円から月数百本のペースと大量制作に適した動画制作サービスで、広告運用まで含めた動画マーケティング支援や動画を活用した人事課題の解決支援も行っています。また、過去の膨大なノウハウを活用し効果検証を行うことで、3ヶ月でオーガニックトラフィック2倍、CPA1/10に改善や内定承諾率1.2倍に向上などの実績もあります。そのため、研修動画を検討中の方にはおすすめの動画サービスです。
研修動画の作成には一定のスキルとノウハウが必要です。一方で、注意すべきポイントと共に、効果的な動画を作成するためのコツもあるので知識として覚えておくことが重要です。ここでは、注意点として著作権について、学習効果を妨げる要因について解説します。また、コツとして内容を分かりやすく伝える方法や、閲覧者の関心を引く方法についても説明いたします。
研修動画の作成にあたっては、さまざまな注意点がありますが、今回は無視してしまうと、動画が法的な問題を引き起こす可能性があるだけでなく、動画の教育効果を大幅に低下させる可能性を持つ2点に絞って説明いたします。
他人の作品を使用する場合は著作権法により制約があります。これには映像、音楽、画像、文書などが含まれます。特に、youtubeなどの動画共有サイトでの著作権侵害は厳しく監視されています。そこで、以下の点に注意することが重要です。
1. 公共ドメインの素材の利用: 一部の作品は著作権の保護期間が経過しており、自由に利用できます。しかし、これらの作品が実際に公共ドメインであることを確認することが重要です。
2. フェアユースの原則: 教育目的であっても、他人の著作物を無断で使用することは法的に許されていません。しかし、フェアユースの原則に基づけば、一部の条件下で著作物を使用することが可能です。これは、動画が教育的または批評的な内容を含み、原作に対する影響が軽微である場合に適用されます。これは複雑な法的概念であり、適用可能かどうか不確実な場合は、法律の専門家に相談することをおすすめします。
3. ライセンス付き素材の利用: さまざまなウェブサイトやプラットフォームでは、一定の条件下で著作物を使用するためのライセンスを提供しています。たとえば、ストックフォトや音楽を提供するウェブサイトは、利用者が素材を合法的に使用できるようにライセンスを提供しています。これらのサービスを利用することで、著作権侵害のリスクを軽減できます。
教育的な動画を作成する際、いくつかの要素が学習効果を妨げる可能性があります。以下に、これらの要素とそれらを避けるための提案をいくつか示します。 1. 長過ぎる動画: 人々の注意力は限られており、長い動画は飽きさせる可能性があります。学習の効果を高めるためには、適切な長さを保つことが重要です。内容に合わせて適切な長さを検討しましょう。
2. 分かりにくい言語や表現: 学習者が理解しにくい専門用語や複雑な表現を避けることが重要です。わかりやすく簡潔な言葉を使用し、視聴者が内容を追いやすくするように心掛けましょう。
3. 不適切な視覚効果: 過度に派手な視覚効果や刺激的な映像は、学習効果を妨げる可能性があります。動画の目的に応じて適切な視覚効果だけを使用し、情報の理解をサポートするようにしましょう。
以上が、研修動画の作成の際の注意点とコツです。これらのポイントを考慮しながら、効果的な研修動画を制作することが大切です。
一方で、以下に示すコツを掴むことで、研修動画の効果を大いに引き出すことが可能です。内容を分かりやすく伝える方法と、閲覧者の関心を引く方法、学習効率をあげる方法を理解して、研修動画作成の参考にしましょう。
研修動画の目的は視聴者に何かを教えることです。そのため、視聴者が内容を理解しやすいように、情報をシンプルに、また視覚的に伝えることが大切です。例えば、複雑なプロセスを解説する場合は、図やアニメーションを用いて視覚的に表現すると良いでしょう。また、テロップやナレーションを用いて、重要な情報を強調するのも効果的です。
視聴者の関心を引くためには、動画の開始部分に注意が必要です。序盤で視聴者の興味を引くことができれば、動画全体を視聴してもらいやすくなります。具体的な事例を提示したり、視覴的に魅力的な映像を用いたりすることで、視聴者の関心を引きつけることができます。
学習効率をあげるためには、視聴者の視聴端末を意識することも肝心です。視聴者の視聴端末がPCなのかスマホなのかによって、見やすい動画のサイズや画面内に表示すべき情報量は変わってくるからです。例えば、スマホでの視聴を想定するのであれば、縦動画も選択肢に入ってきますし、画面内に表示する情報は多すぎないよう調整する必要があります。一方、PCでの視聴を想定する場合には、このような選択肢や調整は必要ありません。
研修動画の導入事例では、さまざまな業界で活用されています。ここでは、特に利用される機会が多いIT業界、製造業、サービス業の3業界の事例をご紹介いたします。
IT業界では、新入社員の教育や技術トレーニングに研修動画が広く活用されています。例えば、プログラミング言語の基礎やデータベースの操作方法など、ITスキルの習得に役立つトピックについての研修動画が作成されています。従来の教科書や講義形式に比べて、映像と音声を組み合わせた研修動画は、より分かりやすく効果的な学習を提供することができます。
製造業でも、作業マニュアルや安全教育のための研修動画が広く活用されています。例えば、製品の組み立て手順や機械の操作方法など、作業時に必要なスキルや知識を効果的に伝えるために研修動画が作成されています。従業員は動画を視聴することで、作業手順や安全対策について確認し、効率的かつ安全な作業を実現することができます
サービス業では、接客マナーや商品知識の向上のための研修動画が広く活用されています。例えば、接客時の挨拶やお客様へのサービス提供方法、商品の特徴や使い方などについての研修動画が作成されています。従業員は動画を通じて、良い接客スキルや商品知識を習得し、顧客満足度の向上に貢献しています。
研修動画の効果を測定するためには、いくつかの方法があります。まず、従業員の学習効果やスキル向上度を定量的に測るために、事前・事後のテストや評価シートを活用する方法があります。また、従業員のフィードバックや感想を収集し、研修動画の理解度や満足度を定性的に評価することも有効です。さらに、研修動画の視聴回数や視聴時間、学習の進捗状況などを分析し、従業員の学習動向を把握することも重要です。
研修動画の今後の可能性は、テクノロジーの進歩とともにさらに拡大していくことが予想されます。新たな映像技術や配信プラットフォームの登場により、研修動画のクオリティや効果を向上させることが可能になります。
例えば、AI(人工知能)の進化によって、研修動画の内容を自動的に分析し、学習者の理解度や課題を把握する機能が追加されるかもしれません。これにより、個別の学習ニーズに合わせたカスタマイズされたコンテンツの提供や、学習の進捗管理が容易になるでしょう。
また、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)の技術が研修動画に組み込まれることで、より実践的な環境を再現したり、身近な場所で研修を受けることができるようになるかもしれません。これにより、従来の教室型の研修に比べて効果的な学習が可能となります。
さらに、インタラクティブな要素を取り入れた研修動画が注目されています。学習者が動画内で操作や選択を行うことで、自身の意思決定や問題解決能力を養うことができます。このようなアクティブラーニングの手法を取り入れることで、研修の効果をさらに高めることが期待されています。
研修動画の未来像は、より柔軟で個別化された学習体験を提供することにあります。学習者のニーズやスキルレベルに合わせたカリキュラムの提供や、リアルタイムでのフィードバックが可能となるでしょう。
さらに、マイクロラーニングの概念が進化し、短い時間でも効果的な学習が可能となります。研修動画はよりコンパクトで分かりやすいコンテンツになり、スマートフォンやタブレットなどのデバイスで手軽にアクセスできるようになるでしょう。
また、グローバルな環境での研修に対応するために、多言語対応や文化に合わせた教材の提供が進むことも予想されます。さらに、AIの機能を活用してリアルタイムでの翻訳や字幕表示が可能になることで、言語の壁を取り払った効果的な研修が実現されるでしょう。
ここまで述べてきた通り、研修動画は、効果的な学習手段として企業や学習者に多くのメリットをもたらします。この記事では、そんな研修動画の概要やそのメリット、活用法について詳しく説明しました。
研修動画のメリットとしては、時間や場所に制約されることなく学習できることや、一度作成すれば繰り返し活用できることが挙げられます。そのため、新人教育や社内研修など、さまざまな場面で研修動画は活用されています。
また、効果的な研修動画を作成するためには、映像の企画から撮影、編集までの工程を丁寧に行う必要があります。パワーポイントや動画編集ソフトなどのツールを活用して自社で制作することも可能ですが、外部の制作会社に依頼する場合には、動画制作会社の選定や制作費用の相場を把握することが重要です。
さらに、研修動画の作成にあたっては、著作権についての注意や学習効果を妨げる要因に対する配慮が必要であり、内容を分かりやすく伝える方法や閲覧者の関心を引く方法にも工夫が求められます
それから、実際の導入事例や研修動画の効果の測定方法についても紹介しました。IT業界や製造業、サービス業など様々な業界で研修動画は導入され、効果的な教育手段として活用されています。
そして最後に、テクノロジーの進歩により研修動画の可能性がさらに広がることや、研修動画が持つ未来像についても考察しました。研修動画は、学習の効率化や知識の定着に貢献する重要なツールとして今後も進化していくことでしょう。
この記事をお読みになった方で、効果的な教育や学習環境を実現するために、研修動画の導入をご検討中の方がいましたら、ぜひ弊社にご相談ください!
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう。
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