
ECや店舗ビジネスにおける集客・販促の前提が、ここ数年で大きく変わりました。
ユーザーは「欲しいものを検索して買う」よりも、「何となく見ていた動画から欲しくなる」体験に慣れています。
TikTok、Instagramリール、YouTube ShortsといったSNSにおける縦型動画が購買行動の起点になる中、
今回、楽天がある機能の導入を2025年10月から進めています。
それが、楽天市場アプリ内での「縦型動画機能」です。
これは単なる動画表示機能ではなく、ECとSNSの役割を統合しようとする動きだと捉えることができるでしょう。
今回は、ショート動画制作・SNS運用代行を行っております弊社の視点から「楽天の縦型動画機能」を徹底解説していきます。
楽天の縦型動画機能は、楽天市場アプリ内でフルスクリーン表示される縦型動画を、スワイプ操作で連続視聴できる仕組みです。
操作感はTikTokやInstagramリールに非常に近く、ユーザーは直感的に動画を楽しむことができます。
特徴的なのは、動画視聴と購買行動が同じアプリ内で完結する点です。
動画を見て「気になる」と感じた瞬間に、そのまま商品ページへ遷移できるため、外部SNSのようにリンク遷移で離脱するリスクがありません。
また、楽天が持つ購買履歴や閲覧履歴と連動することで、ユーザーの関心に近い動画が表示されやすくなっています。
つまり「誰にでも同じ動画を見せる」のではなく、「売れやすい人に、売れやすい動画が届く」設計になっているのです。
動画制作の観点では、これは非常に重要なポイントです。
単に再生回数を稼ぐ動画ではなく、「どの文脈で、誰に見られるか」を前提にした設計が、これまで以上に求められるようになります。
従来の楽天市場は、検索を起点としたECの代表例でした。
しかしこのモデルには、次のような課題があります。
欲しい商品が明確でないユーザーを取りこぼす
新商品・新ブランドが見つかりにくい
価格比較に偏り、ブランド価値が伝わりにくい
一方、SNSでは
「検索していないのに、気づいたら欲しくなっている」購買が日常化しています。
楽天は、このSNS的な発見体験をECの中で再現しようとしています。
さらに楽天は、購買履歴・閲覧履歴・会員属性など、
非常に精度の高いデータを保有しています。
このデータと動画を組み合わせることで、
「見られやすく、かつ買われやすい」発見体験を設計できる点が大きな強みです。
従来のECは、検索を起点とした購買行動を前提に設計されてきました。
しかしこのモデルには、「欲しいものが明確でないユーザー」を取り込めないという弱点があります。
一方、SNSではユーザー自身も明確な購買意図を持たないままコンテンツを消費しています。
その中で「気になる」「自分にも必要かもしれない」と感じ、購入に至る。これが発見型購買です。
楽天が縦型動画に注力する背景には、このSNS的な購買体験をEC内に持ち込みたいという狙いがあります。
さらに楽天は、単なるプラットフォームではなく、膨大な購買データを保有しています。
動画 × 購買データの組み合わせは、動画制作においても大きな転換点です。
これまで感覚的に行っていた表現の最適化が、「誰に、どんな動画が刺さったか」という形で可視化されていく可能性があるからです。
楽天の縦型動画は、SNS担当者にとって非常に相性の良い施策です。
最大のメリットは、SNS用に作った縦型動画を、ほぼそのままECでも使える点にあります。
これまで多くの企業では、
SNS:認知・ファンづくり
EC:商品ページ改善・広告
と役割を分けてきました。
TikTokやInstagram向けに制作している縦型動画は、フォーマットとしてそのまま楽天でも活用できます。
つまり、これまで“認知止まり”になりがちだったSNS動画を、直接売上に結びつける導線が生まれるのです。
動画制作会社として多くの企業を見てきましたが、「動画は回るが、売上につながらない」という悩みは非常に多いです。
楽天の縦型動画は、この分断を埋める存在になる可能性があります。
マーケティング施策を「SNS用」「EC用」と切り分けるのではなく、
縦型動画を軸に統合して考えることが、これからのスタンダードになっていくでしょう。
楽天の縦型動画で重要なのは、
従来のECやオンラインショップではお客様が把握しきれなかった情報を補完することが、最大の役割です。
具体的には、以下の観点を意識した動画発信が効果的です。
商品の実際の使用感が伝わること
サイズ感、質感、使用時の動きや音など、写真やテキストでは想像するしかなかった情報を疑似体験として見せることで、購入後のギャップを減らす。
どんな悩みを解決できる商品かが明確になること
スペック説明ではなく、「誰の、どんな困りごとを解決する商品なのか」を短時間で伝え、価格ではなく価値で選ばれる状態をつくる。
使用シーンや生活文脈がイメージできること
日常のどんな場面で使われ、どのように役立つのかを示すことで、「自分の生活に合うかどうか」を直感的に判断できるようにする。
サイズ感や他商品との違いが感覚的に分かること
数値や文章では理解しづらい比較情報を、視覚的に一瞬で伝え、検討の負担を軽減する。
スタッフやブランドの信頼感が伝わること
実際に使っている人の表情や言葉を通じて、レビュー文だけでは補えない安心感や納得感を届ける。
購入前の不安や疑問を先回りして解消できること
「失敗しないか」「自分にも使えるか」といった迷いを事前に解消し、購入の決断を後押しする。
縦型動画は、単なる商品紹介ではなく、
「読むEC」「口コミ」「文字と写真だけの商品紹介」では伝えきれなかった判断材料を、「見て理解できる形」に置き換えるための手段です。
縦型動画で最も重要なのは、冒頭3秒です。
誰向けの動画かがすぐ分かるか
自分に関係があると感じられるか
続きを見たい理由があるか
この3点を満たさなければ、最後まで視聴されません。
また、
テロップは必須
音声ON前提で設計
テンポ感を重視
といったSNS的な作り方は、楽天でも同様に有効です。
「ECだから丁寧に説明する」のではなく、「SNSと同じスピード感で、必要な情報だけを残す」意識が追加で求められます。
楽天縦型動画を成功させるには、
「楽天専用コンテンツを作る」という発想を捨てることが重要です。
理想は、
TikTok
Instagramリール
楽天縦型動画
を前提に、1本の動画を設計することです。
これにより、
制作コスト削減
運用の継続性向上
少人数でも回せる体制
を実現できます。
今後は、
モール内広告だけに依存しない集客
商品ページ単体で完結しない導線
動画を軸にしたEC運用
が当たり前になっていく可能性があります。
楽天の縦型動画機能は、
EC・SNSの両方において改めて縦型動画の重要性を示した事例になるのではないでしょうか。
楽天の縦型動画機能は、ECにおける動画活用を一段階引き上げる存在です。
同時に、動画を「作るだけ」では成果が出ない時代が本格化したとも言えます。
誰に、どんな文脈で、どんな順番で見せるか。
その設計力こそが、成果を左右します。
縦型動画は、SNS施策でもEC施策でもなく、
企業のマーケティング全体をつなぐハブになりつつあります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
・自社で運用を進めているが思ったように伸びない
・投稿を進めていきたいが、工数が想定以上に発生し手が回らない
・面白い企画やトレンドの企画を追いきれない
・戦略策定から運用まで全て一貫して任せたい
・動画撮影や編集ができる担当者がいない