縦型動画広告とは「9(横):16(縦)」の比率で作成された動画広告のことを指します。スマートフォンの画面をフルに活用して再生する点が、主な特徴です。最近、InstagramやTwitterなどのSNSや、YouTubeやTikTokなどの動画共有サービスにおいて、縦型動画広告が出稿されるケースが増えています。 モバーシャル社の調査によると、約60%の方が1分以内の動画の場合は、スマートフォンを縦向きにしたまま視聴すると回答しています。このことからも、縦型動画が一般的になってきており、かつ広告フォーマットにおいても、縦型が求められてきています。 本記事では、縦型動画広告のメリットやデメリットなどについて触れつつ、縦型動画広告を制作する際のポイントについて解説します。
縦型動画広告が増えている背景として、若者を中心に、TikTokなどの動画共有サービスが頻繁に活用されてきており、前掲調査のようにスマートフォンを縦向きに視聴するユーザーが増えてきています。従来のサイズの横型の動画広告よりも、反響が出るために増えてきています。
縦型広告の事例を2つ紹介します。
1つ目は大手アパレルメーカーH&Mが展開した「H&M HOUSE Forest」の縦型広告です。同社の世界観を表現した、グランピング施設のイベントを告知するために制作された縦型広告で、SNSを中心に拡散され話題になりました。
SNSのキャンペーンで当選者した方は、実際に施設に招待されバーベキューなどのアクティビティが楽しめるほか、同社の商品を試着することが可能です。本キャンペーンの動画は縦型広告で展開され、ターゲットである若年層のユーザーが、まるで自分のスマホで撮影しているような感覚を味わえ、思わずシェアしたくなる点が最大の特徴といえるでしょう。
(参考:YouTube/<縦型動画>ナチュラルな鈴木えみが可愛すぎる!『H&M HOUSE Forest』キャンペーン)
2つ目の事例は、映画「キング・オブ・エジプト」の予告編動画です。本予告動画は、スマートフォンのホーム画面で検索するシーンからはじまり、その後も途中で電話がかかってきたり、SNSに投稿がアップされたりするなど、ユーザーの没入感を上げるための工夫が、全編にわたって施されています。縦型広告の利点を活かしながら、映画の告知効果を最大限に高めた事例といえるでしょう。
(参考:YouTube/映画業界初!縦型映像のスマホジャック予告編が誕生!『キング・オブ・エジプト』予告編)
スマートフォンで、動画を視聴するユーザーに対して縦型広告を活用することで、以下のようなメリットが得られます。それぞれについて解説します。
縦型広告であれば、動画をフルスクリーンで再生できるため、動画の視認性が高まる点がメリットです。スマートフォンを縦に持って動画を視聴する場合、横型広告を再生すると画面の上限に余白ができてしまい、その分だけ動画のサイズが小さくなります。しかし、縦型広告であれば横型広告よりも大きな映像が再生できますので、細部にこだわった作品を制作することができるでしょう。
縦型広告を活用することで、ユーザーが動画を再生するときのハードルを下げられます。若年層ユーザーの多くがスマートフォンを縦にしたまま動画を閲覧しているからです。縦型閲覧に適した広告フォーマットの方が見やすいため、視聴のハードルは下がります。
縦型広告は、動画の視聴率が高まる点もメリットです。動画の視認性が高い縦型広告は、視聴するユーザーの興味を引きやすく、没入感も得やすいことから、動画を視聴してもらえる可能性が高くなります。
Snapchatによると、縦型広告は横型広告に比べ、完全視聴率が9倍程度まで伸びたと発表しており、TikTokにおいても、インフィード広告を横型から縦型にした際視聴率が391%になったと発表しています。
( 参考:USA TODAY/Vertical video pays off for Snapchat)
(参考:TikTok for Business/「TikTok広告クリエイティブTips」公開 〜横型動画を縦型に編集することで、効果を最大化〜)
スマートフォンのユーザーをターゲットにする場合、縦型広告にすることで、リーチ数の伸びを期待することができます。前述した理由から、縦型広告の方が視聴率は高まる可能性が高いため、ユーザーの反応も良くなるでしょう。 その結果、動画広告のリーチ数も伸びるので、費用対効果の観点からも、TikTokやYouTubeなどに出稿する動画広告は縦型で制作するのがおすすめです。
メリットが多い縦型広告ですが、以下のようなデメリットもあるため、事前に確認して実施するかどうか判断しましょう。
縦型広告は、観光スポットをパノラマで見せたい場合などには不向きです。縦型広告は、実際に普段人が見る場合とは異なる視点で動画が展開されます。そのため、素材によっては不自然に感じられる可能性もあります。
縦型広告は横幅が狭いため、大勢の人やものが並ぶ構図には不向きです。構成やカット割り、演出などについて、縦型動画独自のノウハウを活用しなければ、効果的な動画を制作することはできないでしょう。
縦型広告は、パソコンで再生させると左右に余白ができるため、視聴には適していません。画面のサイズも合わないので、ユーザーにとって見づらくなる点がデメリットです。したがって、広告のターゲットにパソコンのユーザーが多い場合は、縦型広告ではなく従来の横型広告で動画を制作した方が無難でしょう。
縦型広告は、出稿先の媒体選びが大切です。現在、縦型広告での出稿が適しているのは、TikTokとInstaglam、YouTubeでしょう。
若年層に人気のTikTokは、縦型広告が適した媒体です。縦型動画を配信する媒体であるTikTokには、横型動画の再生は適していません。ショート動画が基本なので、広告の内容もあまり長くならないように配慮が必要です。
同社の「TikTok for Business」は、簡単に広告出稿ができるプラットフォームとなっているので、出稿を検討している方は登録してみましょう。
女性に人気のInstaglamにも広告媒体があります。Instagramの広告では、ストーリーズとリールで9:16のフルスクリーンの縦型動画、発見タブとフィードでは4:5の縦型広告が入稿可能です。細かいターゲティングができますので、自社のターゲットとなるユーザーに、効率よく広告を見てもらいやすい点も、Instaglam広告のメリットだといえるでしょう。以下のサイトから出向できますので、確認してみてください。
Instagram広告:Meta/Instaglam
世界一の動画プラットフォームであるYouTubeの広告媒体も外せません。YouTubeショートがスタートしたことで、縦型動画を視聴するユーザーも増加傾向です。YouTube広告では「アウトストリーム広告」「バンパー広告」「スキップ可能なインストリーム広告」「スキップ不可のインストリーム広告」において縦型広告で出稿できます。通常の広告と同様に、動画の再生前後や途中で配信される点が特徴です。なお、スマートフォンで縦型広告を再生する際には、横型広告よりも大きなサイズで視聴できます。なお、YouTube広告の出稿は、以下のサイトから実施可能です。
Youtube広告:YouTube Advertising
縦型広告で反響を上げるために、以下のポイントを意識しながら制作しましょう。
縦型広告は、配信する媒体や広告内容、ターゲットを考慮して制作しなくてはいけません。横型動画の方が効率よく訴求できる内容や、横型動画が主流の媒体で縦型広告を配信しても、大きな効果は期待できないでしょう。配信先については前段落の「縦型動画が活用できる主な運用型広告の媒体」をご確認ください。
縦型動画を新たに制作する場合には、当然コストが発生します。そのため、既存の横型広告の素材がある場合は、縦型へリサイズして活用することも視野に入れたほうが、費用対効果の観点から良いです。ただし、単純に横型から縦型へリサイズするだけでは、高い効果が期待できません。縦型ならではの構成や編集を行うことで、より効果的に活用できるでしょう。
縦型動画を実際に制作する際には、以下3点について活用できるか否かを検討しましょう。
縦型の上下に長い形を活かして、アニメーションで縦方向の動きや流れを作ることで、インパクトを強められます。
縦型動画の画面レイアウトは、画面分割の工夫次第で情報訴求力を高められます。テキスト、動画、静止画、それぞれを効果的なバランスで配置することで、より強い訴求力を持たせることが可能です。
InstagramやTwitterなどのSNSや、YouTubeやTikTokなど、それぞれのプラットフォームにおいて傾向が違います。そのため、プラットフォームやフォーマットごとに、最適化された動画を制作することが必要です。
本記事で縦型動画広告を制作に興味が湧いた方は、ぜひ弊社フラッグシップオーケストラまでお気軽にご相談ください。